はなの留学特派員レポート・第11回「演劇大会レポート!」

第11回「演劇大会レポート!」

アニョハセヨ~!
今回は高麗大学で11月17日に開かれた、演劇大会についてレポートしたいと思います。今年で3回目の開催となる「전국 외국인 한국어 연극 한마당(全国外国人韓国語演劇大会)」は、韓国内の語学堂の学生たちが集って行われる演劇大会で、今年は高麗大、慶熙大、西江大、ソウル大、大邱大の全5校が参加しました。審査員には韓国語の先生はもちろんのこと、本物の女優さんまで来て、韓国語のみならず、演技力まで本格的に審査されます。

この演劇大会、高麗大学で主催されるだけあって、先生たちの気合と期待も大きく、はじめに参加する時の条件として「毎日練習に来ることが出来る人」と言われるほどでした。私は同じクラスの去年参加したメンバーたちに「大変だけど遣り甲斐があって絶対楽しい!」という言葉を信じて、スタッフとして参加しました。

まずは高麗大学の演目、「효녀심청(孝行娘シムチョン)」を簡単に紹介します。ちなみに西江大も同じ演目。

・・昔々ある村に、目の見えない父親シムボンサとその娘シムチョンイが住んでいました。ある日、村にやって来たお坊さんがシムボンサに向かって「仏様にお米300石を納めたら目が見えるようになる」と言います。しかし貧しい暮らしをする2人には300石ものお米を集めることが出来ません。そこで荒波を鎮める為に生贄になる女性を探している船乗りたちと会ったシムチョンイは、自分が海に飛び込む代わりに、父親のために300石のお米を用意してくれるよう頼みます。そしてシムチョンイは海へ飛び込むのですが、この様子を見て感動した神様がシムチョンイを蓮の花の中に入れて生かしてくれます。その上、その蓮の花が王様の下に届けられ、シムチョンイは王妃となります。しかしシムチョンイは別れた父親に会いたいと王様にお願いをします。そこで全国の目の見えない人を集めた宴を開き、その中からシムボンサを探すことに。宴の最終日、シムチョンイは父親を見つけ出します。父親は死んだと思っていた娘と再会できたショックで目が見えるようになります。シムチョンイは王妃になり、シムボンサは目が見えるようになって、みんなハッピー!・・・

そんなお話です。
一昨年は1位を取ったものの、昨年は2位に甘んじた高麗大は、昨年のリベンジ!と先生の演技指導、それから道具の製作にも熱が入りました。出演者たちは毎晩遅くまで土日返上で練習があったし、道具を作るスタッフたちも一度作った蓮の花が「これじゃ1位は取れん!」と先生に言われて作り直したりと、みんな悲鳴を上げながらも準備に熱が入りました。特に蓮の花は人間が入る大きさで、なおかつ、そこからシンチョンイが出て来られるように作らなければならないため、花の構造をどう作るかで一番苦労しました。しかも花の基礎が出来上がったところで、こんどはまた花びらをキレイに見せるために、どうやって花びらを付けるかで、みんな「あーでもない、こーでもない」と意見を出し合い、なんとか完成させました。ふぅ~。
最初は段取りが悪く、何か物を作ろうとしても材料が足りなく、その度に買い物に走ったりしていたのですが(買い物に行ったら既にお店が閉まっていたなんてこともありました)、最後には何か必要な物が出て来ても、あり合わせの物で作れるくらいスタッフたちの創意工夫力も増し、チームワークでちゃっちゃっちゃっと作れるようになっていました。
スタッフと出演者たちは離れた教室で練習をしていたので、出演者たちの様子は詳しく分からないのですが、私が練習を見学しに行った日、セリフもみんな完璧に覚えて動きもついて、何の問題もないように見えました。しかし実はこの時、演技の規定時間をオーバーしているという問題が発生していました。そして本番一週間を切ったところで台本を大幅に変更!台本を作り直した先生も、セリフが変わった俳優たちも大変です。本番直前の土日、ほとんど道具が出来上がってスタッフたちがお休みになったのとは対照的に、出演者たちは引き続き練習がありました。ご苦労さま!
本番前日、お坊さん役の人がなんと本当の坊主頭に!学校で先生二人がかりでバリカン、剃刀を使って刈って、刈って、剃って、剃って、つるピカになっちゃいました!その間、他の先生たちや演劇に関係のない学生、はたまた警備のおじさんまで見学しにやってきました。この坊主の彼、気合が入っていただけあって、演劇大会で人気賞を受賞しました。坊主にした甲斐がありましたね。
前日は、演劇大会が行われるホールでリハーサルです。実際に大会が行なわれるホールで練習するのはこの日が初めて。立ち位置や道具の置き場所を確認し、最終チェックが入ります。この時ばかりは先生もちょっとピリピリしていました。特に規定時間ギリギリでやっていたので、道具の出し入れ一つもキビキビ動かないと時間が掛かってしまうので、道具の出し入れを担当するスタッフ、出番じゃない俳優たちにも終始緊張が走ります。そして舞台裏では練習中に壊れた道具の補強も。とてもドタバタした中で練習終了。実は私この時とても不安でした。こんなドタバタしたまま本番を迎えても良いのか・・・。
本番当日は朝の8時半から学校に集まり、衣装を着て、先生がメイクをしてくれました。舞台用のメイクなので、みんな異常なくらい濃~いメイクをして、とっても面白い顔になっている人もいました。差し入れのバーガーを方張り、最後の練習、記念撮影と、時間が刻々と過ぎていきます。そして出番直前、舞台袖へ移動。最後の最後にセリフのチェックをし、みんなで「ファイティング!」と小さな声で(舞台袖なので)叫んで、それぞれの持ち場へ。
本番は今までの長い準備期間が嘘のように、「あっ」と言う間に終わってしまいました。一人ひとりが自分の役割に集中し100%出し切った、そんな印象を受けました。
誰もが高大の1位を疑っていませんでしたが、結果は2位。原因は規定時間のオーバー。でも熱演のあまり時間をオーバーしてしまったと思えば、しょうがないかな・・・。それに前日のドタバタを考えれば、本番が問題なく進行しただけでも良かったと思います。
この1ヶ月間、授業のあとは毎日演劇の練習があり、時には面倒臭くなったりもしましたが、最後までやって良かったなと今は爽快な充実感を味わっています。演劇に参加したみんな、お疲れ様でした!そして、演技指導、道具の準備、差し入れをしてくれた先生たち、ありがとうございました!

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2004-11-24

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