文部省奨学金留学生にインタビュー!

2003年度、日本の国費留学生として選ばれたナム・ソンホ君に会ってきました

こんにちは、ヨーコです。皆さん、お元気ですか?今日は、すばらしい人を皆様に紹介しましょう!韓国で日本語人気が高いことはもう承知のことと思いますが、日本語を勉強する人たちの夢のまた夢である難関試験。それは日本政府(文部科学省)による国費留学生選抜試験です。これに合格すると他の国よりも高い水準の奨学金が出るので倍率が超高いんですよ!さぁ今日はこの選抜試験にて見事合格を手に入れた方とお会いする機会があったので日常生活を追いながらインタビューしてみようと思います。
日本政府奨学金制度とは??
国費外国人留学生制度とも呼ばれる、日本に留学する外国人のための奨学金制度。大使館推薦と大学推薦の2種類があり、文部科学省奨学金の支給額は学部留学生が月142,000円、研究留学生が月額185,000円。授業料は国立大学は免除、公立・私立大学は文部科学省が負担し、渡日時や帰国時の航空券まで支給されるし、宿舎費補助や医療費補助などなど最初から最後まで至れりつくせりの制度で、人気もすごいもの!毎年韓国からは大勢の中から何倍もの倍率をくぐりぬけ、韓国と日本双方の期待を背負った若者が日本に旅立っているそうです。
ナム・ソンホさん!
ほぉ~んと、うらやましいですよね!これならお金の心配も何の心配なく、勉強一筋、精一杯自分の研究を続けることができそう!!いったいどんな人がこの切符を手に入れたのでしょうか!その今日の主人公のお名前はナム・ソンホさん。ちなみに合格者はナムさんを除いてみんな日本留学経験者だそうで、日本に留学せずにこの試験に合格したナムさんはほんとうにすごい!
日本語の勉強を始めた理由
ナムさんは世宗(セジョン)大学ホテル経営学科出身。経営学を学びたかったナムさんは特別な経営を学びたいと、ホテル経営学で有名な世宗大学を選んだそうです。そして韓国でのホテル経営には日本語が欠かせないと、徴兵が終わった3年半前から第2外国語で日本語を習い始めました。文部省試験を知ったのは2001年。そのときはふつうに就職して家族のために役立とうと思っていて気にしてなかったそうですが、その後アメリカでテロが起こって就職が困難になり、そんなときに日本語学院の先生に勧められたことで、試験の準備を始めたそうです。
時事日本語学院本校にて
ナムさんは鍾路にある時事日本語学院本校の文部省試験専門のクラスに入りました。このクラスは徐泰浩先生が担当する、国内では文部省試験専門のクラスがココだけ?!という名門コース。毎年こちらのクラスから何人もの合格者が出るそうです。それにしてもこの徐先生は背が高くて声もしぶく、とってもダンディな方。今日は同じ大学の後輩であり、学院のクラスメイトであり、良きライバルだった女の子のクォンさんにも来てもらいました。
ヨーコ : 学院生活についてお話をきかせてください
ナムさん : 毎日が繰り返して、つまらないと思ったことも・・・でも、思い出になった。4月の中旬から自分がクラスで1位になって、それを守るために努力しました。試験の度に緊張して。。。


授業の後は先生とお食事をすることも・・・
ヨーコ :先生!ナムさんは、どんな学生でしたか?
徐先生 : 勉強もよくするし、マジメな学生でした。いつも私の目の前の席に座り、集中して勉強するので、私の方が緊張するくらいでしたよ。でも休み時間には席にいることがなく、外へ出てみんなと楽しく遊んでいましたね。クラスの代表者になってクラスメイトに連絡事項を伝達したり、授業の準備をしたり、欠席した人には私のかわりに教えたり、私よりもクラスの人気者でした!合格してからはどんどん明るくなりましたねぇ~。

ヨーコ : クォンさんは同じクラスメイトとしてナムさんはどんな人に見えましたか?
クォンさん : みんなに優しい。特に女性に・・・(笑)。いつも目がピカピカしている。

ヨーコ :ハハハ。そうなんだぁ。ところで先生!この頃も日本語を勉強する人は多いですか?
徐先生 : そうですね、一時中国語ブームになりましたが、今も日本語は人気です。最初は韓国人にとって日本語がやさしいので、マンガやゲームで興味を持った人が始めますね。それと、高校で第2外国語として日本語の勉強を始める人や、就職のために大学で初めて日本語を勉強する人と半々くらいに分かれます。この頃の学生は最初から会話をしたがるので語彙力が落ちてきているんですよ。。。

ヨーコ : なるほど。でもこれからも勉強する人が増えると良いですね。ご協力ありがとうございました。
学院のあとは大学へ移動
午前中の学院生活。実は今回の国費留学試験の合格者の中で出発ギリギリの4月まで学院に通ってる人はいないんだそう。今日は最後にお世話になった大学の教授にご挨拶に行くとのこと。大学まではバスで1本。
ヨーコ :日本人に対してはどんなイメージがありますか?
ナムさん:細かい部分まで気を使う、親切、人に迷惑かけない、、、

 ヨーコ :じゃ、日本という国全体に対してはどうですか?
ナムさん: 地震が多い。山がたくさん。自分は日本に行った事がないから日本初心者で・・・。昔は悪い感情がありました。民族抹殺など日本のせいで、韓国人がたくさん殺されたり、苦しみました。でも、少しずつ勉強して変わっていきました。日本から学ぶこともたくさんあるし、歴史関係でも深い国だし・・

ヨーコ :日本に行くことにご両親の反対は?
ナムさん:ありませんでした。なぜなら、日本は学ぶことが多いですし、学問的にも世界最先端ですし・・先進国に行って、勉強して、後で国家の発展に貢献しなくちゃ。それと、両国の交流にも少なからず役に立てるように。。あとでは、日韓の関係も発展することでしょう。
世宗大学にて
オリニ大公園にある世宗大学。世宗大学は、他の大学に比べると規模は小さいのですが、ホテル経営学科はソウル大と同じレベルであるほど有名で入るのが難しいそうです。韓国伝統の建物が校舎になっていたり、こじんまりとしていて、アットホームな雰囲気です。
ヨーコ : 大学生活はどうでしたか?
ナムさん : 軍隊に行く前は学科の人たちと遊ぶだけ遊びました。そのおかげで、学科で自分のことを知らない人はいません!(笑)軍隊が終わってからは、勉強して奨学金を3学期連続でもらったし、学院生活と大学生活の繰り返し。そのとき、日本語と英語の勉強を始めて・・。友達の中でも英語・学校成績・日本語の三冠王でした!文部省試験合格を見てもわかると思いますけど、もちろん、初挑戦で合格したことにスゴイと言う人もいますけど、ずーーと学院に通って、大学の勉強して、みんながPC房やビリヤードを楽しんでいるときも行かなかったし、おもしろくない生活の連続。日本では勉強も一生懸命するけど、文明の恵沢を受けながら暮らさなくちゃ!
経営学科マーケティング教授にご挨拶
世宗大学経営学の教授であり、ナムさんを国費留学の受験生として推薦してくれた上に、日本の大学選びでもいつも相談に乗ってくれたという柳東根教授に最後のご挨拶に行きました。突然の訪問にもかかわらず、インタビューに応じてくださってありがとうございます。
ヨーコ : 先生、ナムさんはどんな学生でしたか?
柳教授:高校から日本語を習う人が多い中、ナムさんの場合は大学から始めて3年ちょっとという短期間で今回の競争を勝ち抜いたんですね。特別に日本で学びたい!と大きなことをしたい!としっかり目的を持っていたので、応援しようと思いましたよ!第二の人生を日本で始め、日本政府のおかげで大きな結果を見出すことができるでしょう。

ヨーコ : ナムさんは日本での大学選びの際に、やっぱり一番知名度が高いけど自分の専攻する学部が無い東京大学に進むべきか、韓国での知名度が低いけど本当に自分のしたい専攻のある横浜国立大学へ進むべきか、本当に悩んだそうですが、その辺はどのようにアドバイスをしたのでしょうか?
柳教授:最初、大学名は関係ないからいろんな大学の自分の専攻する学科の教授の研究プロフィールを全部持ってきなさいと伝えました。持ってきた後、一緒にどの教授から学ぶか考えて、横浜国立大学を選びました。大学名じゃなく、どんなことをどの教授から学ぶかが重要だと伝えたんです。横浜国立大学にはマーケティングで有名な教授がいますので、○○大学で学びたいと話すより、○○大学の○○教授からこんなことを学びたいとアピールすることが重要だと思いましたよ。

ヨーコ : なるほど。柳教授はマーケティングの教授なので、売り込み方も違いますね!今日はありがとうございました。

世宗大学ホテル経営学科94年生ナム・ソンホ日本国費留学合格
世宗大学を歩いていると、こんなプラカードを発見しました。そう、ナムさんの合格を祝うプラカードです。友達がみんなで作ってくれて、一緒に合格を喜んだそうです。大学に来るのは今日が最後なので、思い出に持って帰ろうとのこと。棒を登ってハサミでチョキン。みんなの気持ちを一緒に背負って、お世話になった大学をあとにしたのでした。
日本語上級フリートーキング同好会「あおぞら」にて
ナムさんは学院と大学生活の他に、ある同好会生活を楽しんでいます。それは毎週土曜日の夕方、鍾路(チョンノ)で開かれてる日本語上級者向けのフリートーキング同好会「あおぞら」。日本人の先生を呼んで、1つのテーマについて討論しながら生の日本語を教わるんだそう。韓国って同好会活動がほんとに多く、英語の同好会だと英語を勉強する韓国人が数人集まって英語でずっと会話をしたりしてるんですよ。日本じゃちょっと考えにくいですけど、韓国の人は本当に一生懸命です。さぁ、今日はナムさんの同好会にもおじゃましてみましたー。
ヨーコ :「あおぞら」に初めて参加したのはいつですか?
ナムさん:2000年の10月からです。最初はもちろん下手でした。でも、先生と会ってタメグチを覚えましたよ!自分は学院でも会話の授業をとってたし、あおぞらでも毎週して、授業以外にもあおぞらの先生に会ったりして・・・。今まで歴代の先生はみんなスバラシイ人でした。

ヨーコ :「あおぞら」はどうでしたか?
ナムさん:毎週、楽しかったです。あおぞらのおかげで会話が伸びたし、聞き取りも伸びました。それから、メンバーがすばらしい方が多かったので、自分はいつも良い人ばかりと出会うなーって感じます

ヨーコ :いつも、出会いに恵まれていたんですね。
「あおぞら」が終わるとみんなでお食事をします。みんな仲間。情報交換したり、応援しあったり、食べたり飲んだりしながら、いろいろなお話をしていました。「あおぞら」は日本語の上達はもちろんですけど、仲間たちとの交流も大きな楽しみだそうですよ!今は社会人の方が多いので、社会の話なんかもいろいろ教わることができるので、それも勉強になって良いそうです。今日も、ありがとうござました。
ナムさんの家族
ナムさんの家族は、ソウル大出身で小学校の先生をしているお父さんを中心に、専業主婦のお母さん、英語がペラペラのお姉さん、ドイツ語がペラペラの弟さんがいるそうです。一家全員、優秀なのもわかりますね!でも韓国では普通、子供が勉強をしているとそっと見守り何も要求しないことが多いですけど、ナムさんの家では勉強していても、文部省試験の前日でも「お皿洗って!」「おつかい行って!」と容赦なく要求が飛んできたそうです。韓国ではとっても珍しがられますけど、そういうことをマイナスにとらえず、乗り越えてきたことも自信の秘訣になったかも!とのことでした。
最後に・・・
ヨーコ : 日本ではどんな生活がしたいですか?
ナムさん : 一生懸命勉強して、また旅行もしながら多くのことを見て習いたいです。日本は先進国だから、学問的にもそうだし、いろいろ社会システムも習うことがたくさんあると思います。

ヨーコ : ソウルのオススメや韓国の良いところを教えてください
ナムさん : 交通費が安いしおいしい料理がたっくさん!おいしいお酒もあるし。。。ソウルは韓国の人口の4分の1が集まっている大都市だから、文化・芸術・学問の中心です。韓国文化といえば、食堂でおかずをいっぱいくれますよね。日本ではおかわりすると、お金を払わなくちゃいけないけど。。。そんな人情深いところかなぁ~
ヨーコ : 最後に、これから韓国に旅行や留学で来る人にメッセージをお願いします。
ナムさん : あちこちいっぱい回ってみて、観光をたくさんして、韓国の姿を感じながら・・観光コースじゃない裏道とか、、、韓国の内面を知ってくれたら良いです。普通、決まった観光コースだけ行ったら、本当の韓国について知るチャンスが無いんです。韓国の友達に会ったり、普通の韓国人の生活を感じてみてください。私も日本に行ったら、日本人とたくさん会って日本人の生活を見ながら自分も合わせて生活するつもりです。それでこそ、本当の日本について少しずつ知ることができるから。誰かの言葉1つで人の人生は変わったりするんだから。。。健康に気を付けて、おいしい韓国料理をたくさん食べて、韓国人の情を感じてみてください。

ヨーコ : はい、それでは、日本に行っても、頑張って勉強してくださいね。いろいろありがとうございました。

いかがでしたか?ナム・ソンホさん。ナムさんは2003年4月3日、無事日本へ出発し、横浜で新しい生活が始まりました。きっとこれから一生懸命生活して、あとで韓国に大きく貢献する人になることでしょう。ナムさんが日本で頑張るように、ヨーコも韓国でもっともっと頑張らなくちゃ!!っと気持ちが新たに引き締まりました。一生懸命すれば誰でも何でもできるんですね!!以上、やる気満々になってきたヨーコがお伝えしました。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2003-04-18

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