みぽりん@そうる.com・第2回「これぞ2002年の旧正月あっとソウル」

第2回「これぞ2002年の旧正月あっとソウル」

こんにちは、みぽりんです。今日、最初にお目にかける写真は2002年2月12日(旧暦1月1日)にソウルにあるみぽりんの嫁家の旧正月の風景です。まず目に付くのは、山のようなお供え物のお料理でしょ。果物やお肉やその他、なんだかわからないものが山のように積んであるのをごらんいただけると思いますが、今でも韓国の宗家(要するに本家)では、このようにお供え物を山積みをするのが習慣です。だいたいのおうちでは、お姑さんとお嫁さんが1週間くらいかかって、材料の仕入れから始まって、魚を干したり、スープを煮出したり、ムルマンドゥ(水ギョウザ)を作ったりするのです。まったくバックトゥーザフューチャーですが、これぞ韓国の旧正月なのです。ですから旧正月の2週間くらい前から若いお母さんたちは、あちらこちらに集まっては、「お腹が痛い」とか「頭痛が。。」とか「腕の骨が折れちゃったらいいのに。。」なんて呟いているのを目にします。韓国ではこういった類の神経性頭痛や腹痛を、名節シンドロームといいまして、れっきとした病気で、それくらいこの時期は韓国女性にとってストレスが溜まるときなのです。
さてみぽりんがお嫁に行ったお家は、宗家といえ親戚もお客も少なく、夫の4人の兄弟とその家族を中心に20人くらいでお正月を過ごしますが、これはソウルの宗家の中では、少ないレベルだと思います。お料理の量もこちらの感覚ではごく普通ですが、日本人の私が見るに、すさまじい量です。これをお姑さんとお嫁さん3人(私も含めて)が分担して作ってから、当日ないしは前日にご両親が住むソウルのお家に持って行くことになっています。一人が一気に作るのは余りにも大変ですから。そうなるとみぽりんさんも作れるんですか!?と問われると、「もちろんです~。」と自信満々に答えたいところですが、まあ適当に作っても失敗しないものだけを受け持っているので、かなりあやふやですね。作り方は分かるのですが、何だか食べ物というより、見るもの=お供え物といった感じが強くて、あんまりおいしくは作れません。率直にいうと、あんまりしたくないお仕事のランキング第一位が、旧正月とお盆のお供え物作りなのです。でも仕方がない。今年も作りました。なんのかんのといって。
「このようにして旧正月の朝は始まる」
まだお日様が東の空でよたよたとしているころ、夫と私と半分眠りこけている娘たちを乗せた車は一路ソウルのご両親のお家に向かいました。夫は背広。私と娘たちは必ず長めのスカートを履くのが礼儀になっています。本当はチマチョゴリなんでしょうが、それはいつも省略です。さてお家に着くと、既に姑と兄嫁たちは忙しそうに祭壇の準備に余念がありません。私も「遅れてすいませんねーー」なんてへらへら笑いながら、お手伝いするふりを。でも例によって姑がほとんどしてくれました。
そのうち祭壇の準備も整い、家族も集まると、朝の8時頃からチャレと呼ばれる儀式が始ました。まず宗家の長男である舅が、お部屋に作った祭壇(先祖が祭ってあるのです)にお線香をともし、お酒をささげ、お料理にお箸をつけてから、祭壇に向かってお辞儀を二回します。そして後ろに控える直系の家族が一斉にお辞儀をするのです。次は夫の長兄から始まって、今年大学に入学した甥っ子ままで、順序正しくお酒を捧げ、お辞儀をします。この間約20分くらいでしょうか。そして最後に全員でお辞儀をして、戒名のようにお名前を書いた紙を燃やして儀式は終わります。(#順序はあやふやです。すいません)ご先祖の霊をお迎えして、お辞儀をして、お酒とお食事を差し上げて、お送りするという儀式なんです。ところで今はかなり慣れましたが、初めて見たとき本当に驚いてしまいました。(@_@)これこそまさに文化の違いですね。さ~て続いてセーベーという新年のご挨拶が始まります。
「セーベーとは新年の挨拶とお年玉がミックスしたもの」
手早く祭壇を片付けた場所に夫のご両親が座り、歳の多い順に韓国式のお辞儀をしながら「セーへーボク・マーニパデゥセヨ(明けましておめでとうございます)」と言います。このとき「お体を大切に」とか「お仕事うまくいくと良いですね」とか一言付け加えるのも礼儀のようです。そして年長者が年少者にセーベードン(お年玉)を上げます。肝心の金額ですが5千ウォンから5万ウォンくらいでした。結婚した人は夫婦がセットになってご挨拶をするのがとっても印象的でした。そして最後にマッチョルといって兄弟夫婦が一緒に「今年もよろしくお願いします~。」と一斉にお辞儀をして新年のご挨拶、セーベーは終わりました。ふーーー
「そしてひたすら食べる。。。」
この後はお食事の時間が始まるのですが、メインは当然マンドゥクックです。祭壇から下ろした山のようなおかずも一緒に食べますが、この頃には既につまみ食いでお腹がいっぱいの子供たちはあんまり食べようとしませんが、絶対にマンドゥだけは食べなくてはならないのです。一方つまみ食いが出来ないお腹を空かせた大人たちはおいしそうにお料理を片付けていくのです。焼き魚、牛カルビ料理、各種ナムル、各種ジョン、キムチ、お餅そしてお酒とかなりの量です。韓国料理の真髄はここに在ると言っても過言ではありません。そして後には汚れたお皿が山積みになるのでした。あーーー。次は皿洗いだ。
「これから後は何が?」
さて皿洗いも一段落して、大人たちはコーヒーと果物などをつまみながら雑談を交わします。子供は昔はユンノリなどの伝統的な遊びをしたようですが、今はもちろんコンピューターゲームに突進です。「子供が勉強しなくて困っているのよ。」なんてたわいもない話題を毎年繰り返しながらも、やっとホッとするひとときです。そしてその後は。。。2,3時間ゴロゴロしてからお昼ご飯です。たくさん食べた後ですからあんまり食欲もありませんが、おかずは山のようにありますからまた食べます。他のお家ではこのころお客さんがどどどーーっと来て、接待におおわらわするそうですが、うちは舅が現役から退いてかなりになるので、特別なお客さんはいません。(#ラッキー)そしてまたゴロゴロするのです。みぽりんの婚家の方々は、出歩くのより家族でお昼寝するのがとっても好きなんです。一方ゴロゴロ出来ない私たちお嫁さんは、ほかのお部屋に集まって、ひそひそと噂話をします。そして午後3時ごろに、昼寝にも飽きた夫が「そろそろ帰ろうか~今年も無事終わって良かった、よかった」なんて言いながら、荷物をまとめ始めるのでした。帰るときには必ずお供え物を袋いっぱい分けていただくのと、チェムルカプ(祭物価)というお金を置いてくるのが礼儀なのですが、この金額を決めるのにかなり気を使います。そしてセーベードンをもらって大喜びしている子供たちと、疲れて不機嫌な私は、寝すぎてボーっとしている夫の運転で、懐かしい我が家に向かったのでした。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2002-02-19

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