韓国の旧正月「ソルラル」、田舎ではどんなふうに過ごす!?半島南端の海辺の町、全羅南道(チョルラナムド)高興(コフン)編!
こんにちは!ソウルナビです。新しい年が明けて、はや1か月余り。日本ではお正月なんて、もうずいぶん前のことのように感じるのではないでしょうか。そんな陽暦のお正月、新正月が年明けの重要な節目となる日本と違って、韓国でお正月といえば新正月よりも陰暦の元日、つまり旧正月が中心。韓国語で旧正月にあたる日を「ソルラル」といい、ソルラルの前後1日ずつ、合わせて3日が祝日の連休となります。陰暦なので陽暦でいうと毎年日にちが変わるソルラルと、この連休。今年は先週の木曜日、2月3日がソルラル当日で、前後日の2日水曜日と4日金曜日、そして週末の土日を合わせると5連休という長いソルラル連休になりました。ということでナビは今回、この長い連休を利用してソウルを離れ、ちょっと遠くへ。半島でもほぼ最南端に位置する海辺の田舎町、高興(コフン)というところで旧正月を過ごしてきましたよ!韓国の地方や田舎ではどのようにソルラルを過ごすのか!?ソルラルの帰省ラッシュの模様と一緒に、さっそくレポートしたいと思います!
◆◆自然に恵まれた風光明媚な町、高興◆◆
さて今回ナビが行ってきたのは、韓国南西部にある全羅南道(チョルラナムド)の南海岸に位置する高興(コフン)郡。韓半島(朝鮮半島)の中でもほぼ最南端にあり、周囲をほとんど海に囲まれ丸い形をした半島が高興郡です。(横の地図では島のようになっていますが、実際には陸と細くつながった半島。また正確には周辺の諸島も含みます。)全羅南道で最も大きな都市、光州(クァンジュ)市からは車で2時間ほどの距離にあり、来年2012年に万国博覧会の開催が予定されている麗水(ヨス)市とは海を挟んでお隣同士に位置。清浄地域に指定されている美しい海と山に囲まれ自然豊かなこの土地では漁業と農業がさかんで、柚子やザクロ、米の産地としても有名だそう。また高興半島の南東には羅老島(ナロド)という島があり、こちらには人工衛星ロケットの打ち上げ基地の羅老宇宙センターもあります。
◆◇◆高興へ向かっての長い道のり!これがウワサの大移動か~~◆◇◆
それではさっそく韓国の南の町、高興に向けて出発!!・・・といきたいところですが、まずはこちら今回のソルラル連休前日の高速バスターミナルとその付属施設「セントラルシティー」の様子から。韓国ではソルラルに、田舎へ帰省して親族と共に過ごすのが一般的。なので、ソルラル連休が始まる頃にはソウルに住む多くの人々が田舎へ、そして終わり頃には各地からソウルへ大移動。高速道路、長距離バス、地方へ行き来する列車などソウルと地方をつなぐ交通機関はもちろん全て大混雑となります。今回ナビはまず高速バスで光州まで行く予定だったので連休初日早朝のバスの座席を事前にインターネットで予約しておき、前日の晩にチケットだけを購入しに高速ターミナルへやってきました。当日、出発前の混雑でバスに乗り遅れると大変なので、前日にチケットだけを買いに来たということです。(ちなみに比較的道路が空いているだろうということで早朝便を予約しました。)この時もうすでに大移動は始まっており、ターミナルは大混雑、エスカレーターには長~い行列が!ターミナルもセントラルシティーも大きな荷物を抱えた人々でいっぱい!
それから、ソルラルには多くの人が帰省先の両親、親族などにお土産を持って行きます。毎年この時期、ソルラル前にはデパートやマート(スーパー)、コンビニ、市場などあらゆるお店でこのお土産用のソンムル(贈り物)セットを販売。ナビも今回お世話になる家族にソンムルセットを持って行こうと、高速ターミナルすぐ横にある「新世界百貨店」のデパ地下へ~。バスターミナルすぐ横ということで出発前にソンムルを買いに来たお客さんでごったがえしています!ズラズラと並べられているソンムルセットの中から、ナビは体に良いお茶の詰め合わせセットを購入。
さて、一夜明けた早朝6時頃、再びやってきた高速バスターミナル。朝早い時間にもかかわらず、ターミナルには昨日とほとんど変わらないくらいたくさんの人っ!!食堂は朝ご飯を食べる人々でどこもいっぱいで、24時間営業のお店はもちろん、どのお店もこの時間には営業していました。ナビも高速ターミナルといえばよく利用する湖南線乗り場まん前の食堂「クッシマダン」にようやく空席を見つけカルグクスで朝食(ここのカルグクス、アサリの出汁がきいてて美味しいんです)。
それぞれのお店の外には臨時のテーブルやレジが置かれていたり、テイクアウト専門コーナーが設置されていたりとこの大混雑に備えています。コンビニの前にはソンムルセットも並んでいました~。今回ナビは初めてソンムルセットを自分で買ったのですが、意外と直前まで買いに行く時間がなかったりするもんなんですよね。そんな時でも直前まで買えるというわけか~。
ではいよいよ出発です!予約していた午前6時49分の出発時間に合わせて乗り場へ出てみると・・・そこはまたものすごい人だかりで、ぎゅうぎゅうおしくらまんじゅう状態~~!これらバスの乗車を待つ人々の中にはあらかじめ予約している人の他に、予約できなかったので空席が出るのを待っている人もたくさんいるとか。そんな人たちは寒い中待ってもバスに乗れるか乗れないかで、本当に大変ですね。また分刻みで臨時増便されているバスも余りに過密な運行スケジュールのためか時間通りには来ず、結局バスに乗ったのは午前7時を過ぎてからでした。
ソウルの高速バスターミナルを出てから約3時間後、午前10時頃に高速道路のサービスエリアでやっと休憩タイム。場所は忠清南道の天安(チョナン)市。ここはソウルから光州までの道のりでいうと4分の1くらいの地点で、普通なら1時間ほどで来られる距離!?バスは一般車両とは別に専用車線があるといっても、運行本数の増便もあるし、ソウルから抜け出すところが一番混むので、やっぱりここまで来るのにも通常の3倍ほどかかったということですね~。
サービスエリアの駐車場も、もちろん車でいっぱい。バスは駐車スペースが足りず、入ってきた順に通路で停車。前のバスが出たらようやく出られる、という仕組みになっていました。
そんな休憩からさらに3時間半後、ようやく光州に到着~~。合計6時間半の長い道のりでした。ちなみに普段はソウルから光州まで3時間半。あとで見たニュースでは、バスでなく一般の車両なら7時間半~8時間もかかったという話も。これがウワサに聞いていた、旧正月の民族大移動か~っと、身をもって実感したナビでした。そうそう、光州への到着ですが、実は運転手さんが光州市内の道を知らなかったため、市内を迷ったあげくバスターミナルの中ではない近所でバスを降りる破目に。運転手さんは普段は定期便の高速バスの運転はしておらず、臨時で今回初めて光州へ来たとか。地元の地理に詳しい乗客がナビゲーションをして、やっとのことでバスターミナルの近所までたどり着いた、ということでした^^; 臨時バスはこういうこともあるので、こういう時に高速バスに乗るのはこのような非常事態もあるとの注意が必要かも、です。
こんな場所で降ろされました・・・
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本来、着くはずだった光州のバスターミナル
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光州市内へ到着してまずは一般家庭でお昼をごちそうになることに。今回訪れる高興に田舎があり、ナビを招待してくださったご家庭です。メニューは韓国でお正月にいただく代表料理、トックッ。餅の入ったスープですね。このトックッは日本のお雑煮のように地方や家庭によってスープや具が様々なんですが、この時いただいたのはイリコ出汁ベースのスープに牛肉と牡蠣を加えて餅と一緒に煮込んだトックッ。牡蠣が入るのは、ここ湖南(ホナム、全羅道の南部)地方の特徴とか。チャプチェやナムル、キムチ、焼き魚といった全て家庭で手作りされたおかずと共におなかいっぱいいただいたあと、一家揃って車に乗り込んで高興へ出発~~!
◆◇◆名節には親族が集まる、高興の海辺の家に到着!◆◇◆
光州から高興までは車で2時間ほど。午後5時半頃、高興郡でも対岸に麗水(ヨス)の見える海岸沿いにある、小さな漁村に到着。小さな湾を囲んで漁港と民家が並ぶ、静かな村です。お邪魔させていただいたお家は、道路を挟んですぐ目の前に海の広がる場所に。韓国の田舎へ行くとよく見かけるような平屋の一戸建てで、居住スペースとなっている母屋のほかに、昔ながらの釜やチャンドッテ(味噌やキムチなどを保管する瓶を並べて置く台)、倉庫などがマダン(中庭)を囲むような造りになっています。現在、こちらにはお家の主人ご夫妻がお二人で住んでいらっしゃって、三人の子供たちは皆独立しソウルや光州で暮らしているそう。またこのすぐ近く、歩いて1、2分ほどのところにはこちらのご主人のお母さんにあたるハルモニ(おばあさん)の家があり、今回のような旧正月、秋夕といった名節にはこの二つの家に親族が集まるそうですよ。
(※村の様子や家の写真は次の日の朝に撮ったもの。到着したのはすでに薄暗い時間でした。)
夕食時にはハルモニチッ(おばあさんの家)のほうへ。こちらでは旧正月にも行われる茶礼(チャレ、ご先祖様を祀る祭祀)に使う料理の準備がされていました。ハルモニが中心になって、さきほどご紹介したお家のオモニ(お母さん)、それからそのミョヌリ(息子さんのお嫁さん)がお手伝いし準備されたとか。これだけの量の食べ物を作るなんて、ウワサにはきいていましたがホントにものすごく大変そうです!
そうそう、祭祀が終わるとみんなでいただくということで、たくさんの料理が並べられた「サン(お膳)」がいくつも用意されていたのですが、そのお膳の中の一つの足が突然ポキリと折れるハプニングが。韓国ではお客さんをもてなす時にたくさんの料理を準備することを「サンダリ・プロジトロッ」(お膳の脚が折れるほど)と表現しますが、まさに目の前で大量の料理をのせたお膳の脚が折れてしまいました~~!ハルモニは「偶然よ~」とただ笑っていらっしゃいましたが、みんなびっくり、そして「すごい!!」と爆笑!^^
そんなハプニングもありながらも次々とお膳がいくつも並べられ、食事が始まり・・・っと、あれ?祭祀は??もう食べちゃってもいいの?!茶礼は普通ソルラル当日、明日の朝にするんじゃ・・・??と思ってきいてみたところ、「茶礼はもう済んだのよ。この辺りやウチでは前日の晩にして、省墓(ソンミョ、お墓参り)だけ当日の朝に行くの」とのこと。なるほど、地方や家庭によってそういうトコロもあるんですね~。
メニューは海辺ということもあり、魚や貝など魚介類が中心。素朴ですが、全て現地で獲れたり栽培されたりするという材料で作られた料理の数々は新鮮でやはり美味しいです~。ごちそうさまでした!!
食事の前にも途中にもぞくぞくと集まってきた親族たち。食事の前や後に、みんなそれぞれハルモニや目上の親族に歳拝(セベ、目上の人に対してお辞儀をしながら行う新年の挨拶)をし、子供たちはセベットン(お年玉)をもらっていました。この歳拝もソルラル当日の朝だけでなく、このように人々が集まったときにその場の雰囲気で行われることもあるようです。