今からが旬!日本よりもずっとリーズナブルに、また日本とはちょっと違ったお味でいただける韓国のフグ!
こんにちは!ソウルナビです。ソウルでは冷たい風が吹き始め、そろそろ冬の足音が聞こえてくる11月!こんな季節にはやっぱり、あったか~い鍋物が恋しくなりますよね。グツグツ煮えるチゲや素材のダシがよ~くきいたスープは、寒い季節にいただくと体の芯までほっと温まるもの。また韓国料理にはそんなスープ料理だけじゃなく、辛く味付けした、見るだけでもアツくなりそうな料理もいっぱい。そして、季節の材料を使ったそれらの料理を旬の時期に味わうのは最高!^^ 季節にぴったり合ったおススメの韓国料理をご紹介する今月のベストフードは、これからが一年中で一番美味しいと言われるフグ料理についてお伝えしたいと思います!韓国語では「ポッ(ボッ)」、または「ポゴ」というフグ。このフグは韓国でも美味しい魚として親しまれていて、温まるアツアツの鍋料理や韓国らしく辛く味付けした料理など、いろんな味で楽しめるんですョ!それでは、いってみよ!
◇◇◇韓国でフグとは・・・◇◇◇
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美味しくて栄養たっぷり、コラーゲンもたっぷりのフグ!
低脂肪、高たんぱくで低カロリー、各種無機質、ビタミンが含まれているというヘルシーなフグは、コラーゲンも豊富で美容にもとっても良い食材!^^ 味も淡白で独特の旨みがあり、韓国でも人気の食材です。そんなフグは中国や日本、韓国、東南アジア諸国で食べられるほか、エジプトでも親しまれているそう。古代中国では宋時代の詩人、ソ・ドンパ(蘇東坡)は詩の中でフグの美味さを「その味、死に値する」と絶賛したほどとか!一般的にフグは生殖巣が発達して太りだす晩秋から初春までが最も美味しいといわれ、冬の間は珍味として扱われるほど。フグは体を温め、血液の循環をよくするほか、筋肉の硬化を防止する働きもあり、さらにはタンパク質が豊富で乳脂肪がないので、高血圧や糖尿病、神経痛などの成人病の予防にも優れています。また肝臓の解毒作用を助け、二日酔いやアルコール中毒の予防には卓越した効果を発揮!
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韓国で料理によく使われるフグ
主に熱帯、亜熱帯海域に生息するフグですが、その種類は120~130種にもおよぶそう。韓国では南海の済州島周辺の海域に分布していますが、温暖化の影響でその漁場も徐々に北上しているとか。韓国で食用としては、「チャムボッ」と呼ばれるトラフグをはじめ、ミルボッ(マフグ)、カチボッ(シマフグ)、ウンボッ(サバフグ)、ウンミルボッ(シロサバフグ)、チョルボッ(ヒガンフグ)、ボッソム(クサフグ)、ファンボッ(メフグ)などがあります。と、いってもよく分かりませんよね(笑)。そこで、フグといえば韓国で最も有名な釜山のプサンナビから写真をお借りして代表的な食用フグをお見せしましょう!下に並んだ最初の写真はトラフグ、次はシマフグ、最後がシロサバフグです。ほら、こうしてみるとそれぞれ模様が違うでしょう?こんなにイロイロあるフグの種類の中でも、一番高級で美味しいとされているのはやっぱり日本と同様チャムボッ(トラフグ)。しかし、韓国独特の辛く味付けるスープ、メウンタンなどにはカチボッやミルボッなどもいい味が出て身も美味しくいただけるとことから特によく使われる人気の種類らしいですよ。
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日本のものと、似ていて異なるフグ料理!
韓国でこのフグを食べる習慣は、今から2000年前、古代中国から伝わったといわれていますが、現在、韓国で見られるフグ料理の文化は20世紀のはじめ、日本から韓国に伝えられたものだそう。戦前にはあまり見られなかった刺身、お粥、鍋といった料理も戦後になってから広く知られるようになったのだとか。薄く切った刺身や「チリ」という料理名など、日本式のスタイルが多く残っているのはそのためのようですね。しかし日本式の料理法がもとになっているとは言っても、唐辛子やニンニクなんかで辛く味付けしたスープやチム(蒸し物)、プルコギや、日本とは味わいの異なるチリ(澄んだスープ)は日本のフグ料理とは全く違う!?日本でも人気のフグはもちろん日本でも味わえるけれど、韓国ではそんな韓国式のフグ料理を楽しめるんです^^ ちなみに部位によっては猛毒があることが知られているフグですが、韓国でも日本と同様、フグ調理の免許制度があるのでご安心を~。
◇◇◇韓国のフグ料理にはどんなものが!?◇◇◇
日本のものと似ていたり、ずいぶんと違ったりする韓国のフグ料理。どんなものがあるのか、詳しく見ていきましょう~!
■ポッチリ
「チリ」とは、日本語の「ちり鍋」からきているこの料理。でも日本のちり鍋を想像すると、フグ以外に使われる野菜もスープのお味も随分と違うんです。見た目は透きとおった、透明のダシスープで作られるチリ、まずこのスープは多くのお店で昆布の他に数種類の材料からダシをとって作られることが多いみたい。そしてなんと言っても、決定的に違うのは、たくさんのニンニクが入っているということ!また、スープに酢を加えることがある、というのも、日本では見ない調理法かも!?日本ではふぐちりの具をポン酢で食べることはありますよね。フグの他に入っているのは、豆もやしとミナリ(韓国のセリ)、そして大根が一般的。う~ん、これだけ見ても日本の「ちり鍋」とは大分違いますよネ。それでは、その「違い」をもうちょっと詳しく!
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ココが違う!韓国の「チリ」
・野菜は豆もやし&ミナリ!
ポッチリに必ずと言っていいほど入っている野菜といえば、豆もやしとミナリ。どちらにも、フグから出たイイ~出汁が染みて美味しいんです^^ 鍋の煮方はお店によって多少違いはあるけれど、多くの場合、まず豆もやしとフグなどの入ったお鍋が出てきて、フタをしっかり閉めて火にかけます。この時、沸騰するまでの間に鍋のフタを開けるのは豆もやしの臭みが出るのでNGだそう。そして火の通りの早いミナリは大抵の場合、後から加えて火が通ったところで最初にいただきます。ちなみに
フグとセリは栄養的にも相性が良く、解毒効果のあるセリがフグの毒に対抗する作用をもたらしたりもするそうですョ。
・ニンニクとお酢が隠し味!?
日本のちり鍋には入っていないけれど、韓国の多くのチリのスープに入っているのはニンニク!これもお店によっても違いはあるけれど、みじん切りにしたものやすり潰したニンニクがたっぷりと入っていることも。そしてさらに、テーブルで調理しながらお酢を加えることもあり。これはスープをよりさっぱりと、そしてフグの味をより引き立てる効果があるとか。
・さらにタレを付けて・・・
もともといろんな材料からとった出汁スープを使っていたり、ニンニクやお酢を加えたり、もちろんフグからもたっぷりと出汁の出るチリ。これだけで味付けは十分じゃないの!?と思っちゃいますが、韓国では具をいただくとき、これにさらにワサビ醤油や各お店特製のタレをつけていただくのが主流!日本の味に慣れている人ならそのままでも十分美味しく感じられると思うのですが、韓国流に味わうのなら、さらに付けダレ、トライしてみても!?
・白子を追加して豪華に!?
フグの旬の時期に出回る白子。韓国語ではコニ、フグの白子はボッコニといいます。日本でも超高級品でソウルではなかなかお目にかかれないコニですが、めぐり合えたらぜひチリに追加して豪華にいこう~!
・シメはお粥かポックンパッ!
日本では主に雑炊でシメることが多いふぐちり。韓国でもチリを食べた後は雑炊によく似たチュッ(お粥)にすることがあります。でも味付けはゴマ油なども加えてやっぱり韓国風!?また、残り汁を少しだけ使って、ポックンパッ(焼き飯)にすることも。この場合にも、韓国海苔やゴマ油を加えて香ばしく韓国っぽいお味に。それから少数派ですが、カルグクス(韓国式うどん)でポッカルグクスが味わえるお店もあるみたいですョ。
■ポン(ポッ)メウンタン
メウンタンとは辛い鍋のことで、上でご紹介したチリに唐辛子ベースの薬味を加えて辛味のきいた鍋にしたポッメウンタン。見るからに味の強そうな真っ赤なスープは、繊細なフグの味に果たして合うの!?と思ってしまいそうですが、フグの出汁のきいた辛いスープというのも以外とイケル!^^ 中にはフグメウンタンの専門店なんてのもあるんですョ。シメはポックンパッでどうぞ!
■ポッへジャンクッ
もともと二日酔いの解消に効果のあるといわれているフグ。こちらはフグ入りのへジャンクッ、酔い覚ましスープです。チリやメウンタンが鍋でなく一人用の器に入れられて出されるメニューで、1人でも手軽にいただけて朝ご飯やお昼ごはんにもぴったり!
メウンタンのように辛いタイプ
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チリのように辛くないタイプ
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■ポップルコギ
コチュジャンベースの辛いタレに絡ませながら、ミナリなどの野菜と一緒に鉄板や浅い鍋の上で煮るポップルコギ。韓国ならではの辛い味付けとプリプリのフグが堪能できます!また、辛い下味を付けた身を炭などの直火で焼くタイプもあり。どちらも、お酒のおつまみにもぴったり^^
■フェ
日本のように薄~く切ったフグのお刺身。日本よりのものよりはやや厚めに切られたものが多く、歯ごたえを楽しめます。チリやメウンタン、プルコギにはトラフグ以外のフグも使われるけれど、フェ(刺身)にはやっぱりほとんどトラフグを使用!そして一緒にいただく野菜として、ここでも登場するのはミナリ。フグの身でミナリを巻いていただきます。
■ティギム
ティギム(天ぷら)も韓国のフグ専門店では定番メニュー!細長く切った身に少し味のついた衣をつけてカラッと揚げたポッティギムは、フグの旨みがたっぷりつまっていて止まらなくなる美味しさ!?^^
■コッテギ
日本では湯引きしてポン酢などでいただくことの多いフグ皮、コッテギは、韓国ではミナリなどの野菜と一緒にニンニクや粉唐辛子などの薬味を加えた唐辛子酢味噌で和えていただくのが一般的!お店によってはサービスのおかずとしてこのコッテギが出てくるところも。
■ヒレサケ
フグのヒレを焼いて清酒に入れ、フグの香りのついたお酒を楽しめるヒレサケ。韓国にもこのヒレサケを味わえるお店はあります。
■その他、こんな料理も~
フグを野菜などと一緒に煮込んだスユッ、豆もやしと辛い味付けで蒸し煮したチム、薄く切った身をお鍋でシャブシャブするシャブシャブなど、他にも韓国のフグ料理はいろいろあり!ちょっと変わったところでは、フグの刺身を辛い薬味と一緒に葉っぱに包んでいただくポッサムなんてのも~。これらはいずれも、お値段のちょっと高めな高級料理になります。
●プサンポッチッ
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お店紹介ページ
忠武路(チュンムロ)駅近くのと~っても細い路地の奥にお店があり、創業40年以上にもなる庶民的な雰囲気たっぷりのフグ料理専門店。チリ、メウンタン、プルコギ、ティギムなど、韓国式のフグ料理が比較的リーズナブルにいろいろと味わえます。お値段もお手頃でオフィスのたくさん集まる場所に近いことから、夕方になるとフグをおつまみに一杯やりに来る近所のサラリーマンたちでいっぱいに!お酒を注文するとサービスで出てくるコッテギ(フグ皮の和え物)も人気。
●チョルチョルポッチッ
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お店紹介ページ
ソウルの中心地、市庁エリアにある創業30年の人気店!チリやメウンタン、スユッなどいろいろ揃うフグ料理メニューの中でもお店の一番人気はポップルコギ。こちらのプルコギは鍋や鉄板の上で辛く煮る一般的なプルコギとは違い、直火で焼くタイプ。唐辛子やニンニクなどで味付けた大きめ一口サイズのフグの身は、炭火でじっくり焼くことで身が引き締まりプリプリの食感を味わえるとか!お酒のおつまみにもぴったりなポップルコギは、近所のサラリーマンたちにも人気のメニュー。
●トゥングルグァン
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お店紹介ページ
フグがよく獲れることで有名な釜山と同じ慶尚道にある大邱(テグ)の、50年以上続くポンメウンタンの有名店が2号店としてソウルの江南駅近くに出したお店。今年(2009年)の6月にオープンしたばかりにもかかわらず、お値段の安さと美味しさで近くのサラリーマンたちに早くも人気とか。創業の1955年から変わらない、最高級の昆布やイリコなど自然の材料をたっぷり使ってとったダシに、メウンタンの味の決め手となるニンニクや唐辛子もこだわりのものを使い、さらにフグを入れて煮るスープのしみじみとした奥深い味わいと、途中で豆モヤシを取り出してタデギで和えていただく方法はここでしか体験できないかも!?