アートと町工場と高層ビルが共存する街、文来洞を歩いてみよう!

新陳代謝のよすぎる(!?)ソウルの今を見てみよう! 密集する鉄工場、そこに息づき始めたアート、立ち並ぶ高層ビルやアパートとのジェットコースター的なコントラストにおどろきっぱなしの街の風景をご紹介!

こんにちは!ソウルナビです。ソウルの新しいランドマーク的存在ともいえる永登浦(ヨンドゥンポ)のタイムズスクエア。2009年にオープンして、すっかり観光で訪れるみなさんにとっても身近になりつつありますよね。このタイムズスクエアのすぐ裏に文来洞(ムルレドン)という町があるのですが、ここには小さな工場(こうば、と読んで下さいね!)が密集しています。そしてその工場エリアを囲むかのように高層アパートが立ち並び、再開発で工事中の場所がたくさんあり、激しく変わり行くソウルの今を感じることができます。工場街にはアートで町を元気にしようという若い人たちが住み始め、文来洞がちょっとした面白いエリアになりつつあるらしい・・というウワサ。さっそく町歩きに出かけてみましたよ!

まずは、タイムズスクエア内でこんなものを・・・赤レンガのカフェ

というわけで、今回はお散歩につきあってくれるナビ友Sちゃんと、タイムズスクエアで会うことになりました。最先端のファッションビルの中にですね、ポツンとレトロな建物があって、しかもそこがパンが食べ放題のまったりできるブックカフェ兼アートギャラリーになっているらしいとの情報を入手していたナビ。Sちゃんと無事にあってその建物に入りました。カフェは、『ナムクヌル』という名前のチェーン店。タイムズスクエア店になります。
(残念ながら明洞店は閉店してしまったようですね。)
中に入りました。思ったより中が広い!上を見上げると木の骨組みが。ここは文化財135号に指定されている建物で1936年、京城紡織工場の事務棟として建てられました。永登浦には工場がたくさん建てられたのですが、韓国で初めて外国資本でない紡織工場として、韓国の近代産業上とっても大きい意味があります。ちなみにタイムズスクエアは、この京城紡織工場の後身の株式会社京紡の工場跡に建てられたものなんです。へー、へー。

文来洞芸術創作村って・・?

さて、カフェで食事をすませたあと、タイムズスクエアの裏側に回りました。駐車場の脇はすぐ青少年保護区域だったりして、ドキドキです。その通りを抜けると鉄工場街が続きます。このあたりに文来洞芸術創作村があると聞いたのですが・・・

※地図はだいたいの目安です。

小さな鉄工場がずらーっと並ぶばかり。いろいろなジャンルのアーティストたちのアトリエがあったりするの?一生懸命働く職人さんたちの横を申し訳なさそうに歩くナビたち・・すると、ポツポツと“アートっぽいもの”が見えてきました。
さて、ここで簡単に文来洞芸術創作村について説明させてくださいね!1960年後半から1970年代にかけての高度経済成長期に合わせ、文来洞に鉄工場が密集しはじめ、韓国の鉄鋼産業の中心地となります。しかし1990年以降、産業の斜陽化や景気の変動と共に工場街の空洞化が始まりました。その空いたところに2005年くらいからいろいろな分野のアーティストたちが、その安い家賃と便利な立地性を重視してアトリエをかまえるようになりました。今では約200人(アートスペースを経営するART LAB39のマスター談、詳しい人数はよくわかりません・・)ほどのアーティストがいて、ソウル市などの公共機関の援助も受けながら、フェスティバルやフリーマーケット、映画上映やライブイベント、講演会などさまざまな活動を行い、この一体を文来洞芸術創作村と呼ぶようになりました。
日中は鉄工場で働く人々が集まる街に、夕方くらいからアーティストたちがやって来て活動が始まります。町の顔が変わるのは夕方から、なんですね。目立つような大型ギャラリーがあるわけでもないのですが、町工場とアートの共存、せまい路地・・それだけでもなぜか魅力を感じてしまいます。鉄工場が並ぶ通りにパステルカラーがぱっと現れましたよ、どんなアーティストのアトリエなんでしょうか?気になりますね!
ぱっと上を見上げると、大きな旗がゆれていました。うーん、何だか気になる!と入口を見ると、アジト的な匂い。そのまま階段をあがっていくと『ART LAB39』が現れました!ドアをおそるおそる開けると(!?)、マスターがちょうど今豆を挽いたから、とコーヒーをすすめてくれました。
とってもマニアックな文来洞関連本やアート本が目に入ってきました。社会をアートで変えようという世界的な運動、SQUAT(スクアット)のイベントもここでよく開催しているとのこと。日本の方もここでトークショーなどを開いたそうです。文来洞についてビギナーな私たちに親切に教えてくれました。
その後は、鉄工場全体を見下ろせる場所を探して高いビルを探して再び歩き始めました。ソウル市が支援している文来芸術工場のビルも見えてきましたよ。ここではいろいろな用途に使えるスタジオや、アート教室、そして映画の上映や公演などが行われています。

文来洞工場街を見下ろす場所を探して・・

いろいろな古い建物も途中で発見して、Sちゃんとナビは興奮気味に写真をパチパチ(働く人のじゃまにならないように、控えめに!)
工場街は平屋作りの家が気持ちよくまっすぐ並んでいて、ちょっと圧倒されます。一つの平屋にいくつもの工場が入っていて、そして年季の入った家に改築を重ねてもうわけがわからない状態になっています。その風景に魅力を感じてカメラを持って歩く人が結構います。実はこの平屋、1940年代に建てられた「営団住宅」。現在の大韓住宅公社(日本で言えばURみたいな)の前身だった朝鮮住宅営団が作ったもので、労働者の住宅が国策的に大量供給された場所。そういう意味からも近代建築的にとっても重要で、そう簡単には再開発できない理由の一つにもなっている、と聞いたことがあります。(あとは土地の持ち主が複数で、整理できなくていっぺんに開発の手を入れられないという現実問題もあるとか・・・)

※地図範囲はだいたいの目安です。

というわけで、工場街にぽつんと一つだけ高い建物・・それは教会でした!そこの7階から写真をパチリ。目標は果たせました、パチパチ!
その後、ナビたちは文来洞で人気のカフェ兼アートギャラリースペース『チョンタバン』へ。時間があまりなかったので、今回はちょこっとのぞいて終わりましたが、イベントがあればまた来てみたいですね!
昼前の11時半にスタートし、再び地下鉄文来駅に向かったのは夕方の16時半を回ったころ。ポツポツとアーティストがアトリエに来ているのが見えました。これから作業するんですね、がんばってくださいねー。きっと夜に来たらもっと面白いんだろうな・・・初めて来たときはちょっととっつきにくい町かもしれませんが、ゆっくりゆっくり歩いてみてください、きっと面白いものに出会えると思いますよ!以上、また文来洞を歩きたいソウルナビでした!

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2011-12-22

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