ソンムルセットって?ソンピョンって?韓国の名節「秋夕」の全てを知り尽くそう!!
こんにちは。ソウルナビです。今日は、旧正月(陰暦1月1日)とともに韓国最大の名節の一つ、秋夕(チュソッ)について詳しくお話したいと思います。毎年、秋夕の数日前から故郷へ向かう帰省客が全国主要駅やターミナルにドドドッと押し寄せ、ごった返すのが韓国の恒例。秋夕はまさに民族大移動。そんなときには手段や方法を選んでなんかいられない!遠い故郷まで立ち席で行くのもなんのその!というのも故郷へ向かうバスや電車に乗れただけでもラッキーっていうくらいの混雑ぶりだから。やっぱり故郷は人々の心をどこかほのぼのさせるもの。特にソウルのような大都市に住んでいる人はなおさらですよね~それでは、秋夕って何?から代表的な食べ物、ソンムル(贈り物)、伝統遊びなど、秋夕の全てをお伝えします。
秋夕は韓国国民の昔からの伝統名節、韓国語では「ハンガウイ(秋真っ盛り)」!
秋夕は陰暦8月15日のこと。ハンガウィまたはチュンチュジョル(仲秋節)とも呼ばれています。日本でも「中秋の名月」っていいますよね。太陽暦ならばだいたい9月の中旬から下旬あたりになります。秋夕の起源や由来については正確には分からないのですが、古代から伝えられてきたのは確かな話。1145年(高麗仁宗23年)、金富軾(キム・ブシク)らが紀伝体で編纂した三国(高句麗・百済・新羅)の歴史書、三国史記(サングッサギ)によれば、今から2000年前の新羅第3代儒理王9年(西暦32年)の記録に秋夕とよく似た行事を見つけることができるそう。このように秋夕は韓国人がず~っと昔から伝えてきた、大切な伝統名節。秋夕と秋夕の前日(陰暦8月14日)、秋夕の翌日(陰暦8月16日)も公休日となってることからも、その大切さが分かりますよね。3日間の公式なお休み!土日までくっついたらワア~!ワクワクの秋夕連休になります☆
秋夕の茶礼と省墓をしないのは子孫たる者の道理にはずれる!?
秋夕には収穫の季節を迎え、豊作を喜び、祖先の徳を追慕し祭祀を行い、自分の生まれた根本を忘れずに恩を返す、という深~い意味があります。人々は故郷に帰って近い親戚や隣人と一緒にたくさんの料理を分け合い、名節を喜び合います。現在も秋夕が民族大移動と言われ、高速バス、電車、マイカー、飛行機などさまざまな手段で長時間移動し故郷を目指すのも、秋夕に故郷で茶礼と省墓を行わないのは子孫としてあるまじき行為である、と考えられているからなんです。
秋夕の食べ物
◆◇◆ソンピョン(松餅)◆◇◆秋夕の代表的な食べ物といえば、やっぱり「ソンピョン(松餅)」。うるち米をこねて適当な大きさにし、その中に蜜を入れ、アサリの形に整え、松の葉を散らして蒸したお餅。新米と新穀で作り一年の収穫に感謝し、祖先の茶礼卓などに供える名節のお餅です。また、ソンピョンをキレイな形に作ることの出来る女性は結婚相手に恵まれ、可愛い女の子が生まれる。という言い伝えがあるとか。
秋夕の食べ物は他に、その年にとれた穀物や果物、土卵湯、ペファチェ(花菜)、ファヤンチョク(華陽炙)などがあります。
秋夕の贈り物
秋夕の時は日本のお中元のように普段からお世話になっている人に贈り物をします。秋夕前になるとデパートやマート(スーパー)などには特設コーナーが設置され、最近では街のパン屋さんやコンビニ、化粧品ショップも秋夕のソンムル(贈り物)商戦に参加!日本のお中元やお歳暮に定番があるように、韓国の名節ごとの贈り物にもある程度定番があります。日本と似たようなギフトセットもありますが、やはりところ変われば・・・日本ではまずナイな~ってものが立派なセットになっていたりもします。
◆◇◆デパート◆◇◆
どこも同じような品揃えですが、やはりデパートは高級ラインが揃っているよう。また、デパートのネーム入の包装紙や風呂敷などで送ると、さらに喜ばれるようです。
◆◇◆マート(スーパー)◆◇◆
デパートと同じような品揃えですが、デパートに比べれば多少お求めやすいお値段に!
◆◇◆街角◆◇◆
あ!?1つ買い忘れた(泣)って時でも大丈夫!コンビニに駆け込めば商品数は少ないけれど、ソンムルセットが販売されています。また、コスメショップなどでもソンムルセットや秋夕のセールを行うお店も多いよう。
最近では、インターネットで安く購入する若い人も多いんだとか。また、会社で貰ったものをそのまま親や親戚へ再利用する!なんてこともあったり、ソンムルをたくさん受取るお家では、同じようなものがたくさんあるので、お店に返品に行きたいけど、通常、レシートが無いと返品・交換は無理ですよね?そのため、金額を記入していない「贈り物用レシート」というものが出てきたりしているそう。
秋夕の代表的な歳時風俗&伝統民俗遊び
秋夕に行われる代表的な歳時風俗(伝統行事)には伐草、省墓、茶礼などが、伝統的な民俗遊びにはシルム、カンガンスルレなどがあります。
◆◇◆伐草(ポルチョ)◆◇◆
秋夕の約1ヶ月前に祖先のお墓に行き亡くなった祖先に思いをはせ、お墓の周囲の草むしりをしてきれいにすること。最近は忙しくて時間のない人のために伐草をしてくれる伐草代行専門会社ができて好評を得ているとか!でも祖先の方はそれで喜ぶのでしょうか?
◆◇◆茶礼(チャレ)◆◇◆秋夕当日の早朝、祠堂(先祖の霊を祀る所)のある本家に集まり、父親から高祖父まで4代の祭祀を行うこと。最近は祠堂がない家も多く、居間や板の間で茶礼を行うこともあります。終了後は供えられた食べ物を家族で分けていただきます。
※ 一般的なお墓のスタイル。(写真は旧正月のものです)
◆◇◆省墓(ソンミョ)◆◇◆茶礼を行い、朝食を済ますと大人たちが集まって前に伐草をした祖先のお墓へとまた向かうこと。省墓に行って来れば秋夕の公式日程が終わったと考えてOK!
◆◇◆パンボギ◆◇◆
昔、嫁は勝手気ままに実家に戻れませんでした(-_-;) ただ名節や両親の誕生日、祭日には特別な時間が与えられ、会うことができました。しかし、それでも嫁ぎ先と実家の中間地点あたりで会わなければならなかったとか。このように秋夕を前後しお互い会いたいと思っている人と前もって日時と場所を約束し会う女性の風俗を「パンボギ」といいました。現代ではとても想像もできないことですよね〜。(-_-;)
◆◇◆シルム◆◇◆秋夕、土俵の上で男たちが力と技を競う韓国固有の伝統競技、シルム!相撲にちょっと似ています。勝者には壮士の称号とともに荒織りの木綿・米・黄牛といった賞品が与えられたそう!
※ イベントでのカンガンスルレ実演のようす
◆◇◆カンガンスルレ◆◇◆
全羅南道(チョルラナンド)の南海岸地方に伝承されている遊びで、重要無形文化財第8号。秋夕の夕方早くから家事を終えた若い婦女子がきれいに正装して広場に集まり手に手をとって輪になり「カンガンスルレ」というフレーズの歌を歌いながらぐるぐる回る遊びです。
秋夕当日のソウルの様子!
秋夕の間はお休みになるお店も多く、旅行で来る時はお目当てのお店が開いているのか気になりますよね?明洞や仁寺洞などのメインストリートのお店は開いているお店が多いですが、一歩路地を入ったり、繁華街から少し離れるとやっていないお店も多くがらーんとした雰囲気。でも南山コル韓屋村や国立民俗博物館前では秋夕の特別イベントが開催され、伝統的な民俗遊びなどが体験できたり、伝統公演を見たりできます☆ また古宮の無料開放や、秋夕期間に韓服を着て訪れると無料などのイベントも行われます。
◆◇◆明洞◆◇◆
メインストリートのコスメショップやお洋服屋さん、午前中は少し閑散としていますが、午後からはいつも以上のにぎわい。お休みの店もあるけど、ソウルの中では店が開いている方で、屋台なども普段通り営業中。普段の週末と変わらないかんじ!?
◆◇◆東大門市場◆◇◆
ショッピングビルや市場はすべてお休み。しかしショッピングビルの定休日と同じように、ビルの前ではいろんなお店が営業中。意外と人の姿があります。
◆◇◆南大門市場◆◇◆
いつもは活気にあふれている南大門市場も秋夕は多くのお店がお休みに。でも、メインストリートを中心に観光客御用達の食料品店、革製品店、メガネ店などは開いています。また、南大門名物の屋台などは出ていますよ!
◆◇◆仁寺洞◆◇◆
外国人旅行者も多く訪れる仁寺洞は、普段の仁寺洞とほぼかわりなし。お休みの店も少なめ。広場では秋夕の文化体験コーナーも開催。
◆◇◆南山コル韓屋村◆◇◆
毎年3日間に渡って伝統の遊びを体験出来るコーナーや、伝統食の試食や餅つき、わら細工などの体験コーナーも。またステージでは民俗公演も行われます。
◆◇◆国立民俗博物館◆◇◆
こちらでも秋夕の伝統的な遊びを体験出来ます。また博物館前では民俗公演のミニステージも。
いかがでしたか? 秋夕の連休中は開いてないお店もあるし、韓国への旅行は控えたほうがいいかしら?と思われる方もいるかも。でも、この時しか体験できない伝統的な遊びもでき、民俗公演が見られるなど、秋夕中の韓国旅行って意外とイイかも!?また 秋夕を代表することわざに「多からず少なからず、いつも秋夕の日のごとくあれ」というのがありますが、これは寒くもなく暑くもない秋の日と収穫によって豊かになった家の経済状態など良いことがずっと続くといいな~という願いが込められている言葉。皆さんのお家もずっと秋真っ只中のような平和と幸福でいっぱいであることをお祈りします。以上、ソウルナビでした。